日本建築史学のフィールド・ワークによる実測図面、復元イラストや古地図などに基づいた、東北の地方色豊かな歴史的建造物を紹介するWEBミュージアムを公開しています。
制 作:東北工業大学 建築学部 建築学科 建築史研究室(教授:中村琢巳)
研究助成:高橋産業経済研究財団、KCみやぎ産学共同研究会、科学研究費 基盤研究(C)
青森県弘前市の武家住宅の屋敷構えの鳥瞰図です。通り側から生垣と表門、ツボ(座敷庭)、主屋、カグヂ(自家菜園や雪寄せの裏庭)という雪国の風土に根ざした合理的なサムライの屋敷を伝えます。Strolyの鳥瞰図をクリックしていくことで解説をみることができます。表庭「ツボ」には津軽地方独自の作庭技術である「大石武学流庭園」の影響もみることができます(Manaka O. + Toru Y. 作図)。
重要文化的景観「一関本寺の農村景観」の代表的な農家の屋敷構えを表現した鳥観図です。主屋に接続して、稲作農業のシステムをなす馬屋・籾小屋、便所や杭置場、木小屋などの付属屋群に加えて、澤水や湧水などの水路、庭や宗教的石造物が点在します(Chisa T. 作図)。
一関市の重要文化的景観・本寺(国史跡・骨寺村荘園遺跡)に位置する昭和中期の民家建築(主屋)です。岩手は昭和頃まで非常に手の込んだ組子細工の建具をつくる伝統が色濃く残る地域。ここでも、座敷よりも、むしろ入口付近の土間やナカマまわりを中心に、繊細な建具が囲みます(Ririka T. 作図)。
宮城県登米市(とめし)登米町(とよままち)は「みやぎの明治村」として知られ、重要文化財登米高等尋常小学校をはじめとして、近代洋風建築が点在し、まるごと建築博物館のような魅力あるまちです(Shio K. 作図)。
店舗や住宅、味噌醤油醸造ゆかりの大きな土蔵群が織りなす町家を手描きで復原的に表現しました。俯瞰図から各文化財をクリックすることで、各文化財の特色を写真と解説文で構成しました。登録文化財の蔵では様々な活用が取り組まれています(Rino T. 作図)。
登米懐古館が収蔵する江戸時代の城下町絵図をGPS連動したマップです。江戸時代の武家屋敷や明治時代以降の公共建築や町家のなど、歴史ある風情が織りなす「みやぎの明治村登米」を古地図と現代地図の対応で「まちあるき」できかたちとしました。
旧仙台藩の町家建築をみると、主屋の間取りと建具に関係がみられ、座敷の襖、居間の板戸(中透かし戸)に加えて、居間と土間側(店舗側)の境には障子を取り外しできる大阪格子戸がよく使われています。後方に立ち並ぶ土蔵群とともにイラスト化したものです(Mahuyu O. 作図)。
幕末から明治、大正時代にかけて豪華な意匠を発揮した「仙台箪笥」。現在も宮城県内の町家のなかで残されており、文庫蔵に保管された仙台箪笥の実測調査を通して、明治・大正と大きくデザインが進化する編年表を試作しました(Manaka O. 作図)。
宮城県涌谷町 武家屋敷 佐々木住宅
宮城県涌谷町指定文化財の武家住宅である「旧佐々木家住宅」の鳥瞰図です。茅葺きの主屋に加えて、離れ座敷(広間)、板蔵といった付属屋、的場跡とも伝わる空地など、庭や樹木群もあわせて、サムライの住まいを総合的に伝える屋敷構えが伝わります(Toru Y. 作図)。
仙台藩涌谷の要害屋敷「本丸御殿」を江戸時代末期の古図から復元考察したイラストです。「表」の役所空間から、邑主が日常生活をおくった「中奥」、長い廊下を隔てた家族たちの座敷が連なる「奥」と、近世御殿の空間構成がよくわかる平面形式をもっていました。邑主の座敷に対面して「能舞台」が設けられていたことも、この涌谷要害屋敷本丸御殿の大きな特徴です(Satoshi T. 作図)。
江戸時代に仙台藩の要害がおかれた涌谷には武家住宅や寺社、霊廟建築といったの優れた近世建築が伝わります。江戸時代の古地図のフラグから箟峯寺やその住房群、御霊屋など仙台藩涌谷ゆかりの文化財建造物の解説と写真がみられる構成としました。
港町・塩竈には、塩竈神社門前町を中心に多くの町家建築が受け継がれています。座敷は2階にあって、押し込みの仙台箪笥や仏壇・神棚が室内意匠をつくる居間が室内意匠の特徴をなすなど、旧仙台藩領の町家建築の歴史を考える上でも有力なまちです(Kureha K. 作図)。
白河市が進めている小峰城清水門の復元工事の広報協力として、伝統建築の工法や上棟式などのゆかりの工程をイラスト化して、「かわら版」として発行。現場で大きなポスター形式でも掲示いただいています(Yukina O. + Niina T. 作図)。
武家屋敷や町家、ハイカラな近代洋風建築から「みやぎの明治村」と呼ばれる登米で、研究室では継続して歴史的建造物の保存活用支援に取り組んでいます。その一環として、みやぎ北上商工会と連携してその価値発信を試みるwebデザインも進めています。
「エコ・ミュージアム涌谷」は涌谷町が所蔵する古地図や歴史研究に基づく復元イラストから、歴史的建造物をめぐるバーチャルミュージアムで、東北工業大学建築史研究室が涌谷町教育委員会と連携して制作したものです。涌谷町公式HPからStorlyマップをみることができます。
日本建築史を専門とする研究室です。歴史的町並みや民家、寺院・神社、茶室や近代和風建築などの東北地方のフィールド・ワーク(実測調査)を通して、歴史ある建物を未来へ伝える研究に取り組んでいます。
〔専門〕
日本建築史、文化財保存修復
〔略歴〕
東京大学 工学部 建築学科 卒業
東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 修了、博士(工学)
日本学術振興会 特別研究員(PD)
立命館大学グローバル・イノベーション研究機構ポストドクトラルフェロー
公益財団法人 竹中大工道具館 研究員(学芸員)を経て、
現在、東北工業大学 建築学部 建築学科 教授
東北工業大学 建築学部 建築学科 建築史研究室(中村琢巳 教授)
〒982-8577 宮城県仙台市太白区八木山香澄町35-1